乗鞍ヒルクライム 2015 その3

2日目。剣ヶ峰へ。






御来光


 この日の日の出は5時。4時前に起床するも、同じ山小屋の宿泊客が誰も外に出る気配がなく、おいさすがに自分ひとりで真っ暗闇の中、富士見岳に登るのも怖いぞと、そう思って回りの様子をうかがい、誰かが外に出た気配を感じとってから自分も外に出た。

 山小屋の外にいたのは若い夫婦。ヘッドライト装着していたし服装も自分よりはガチ勢。

「どちらに登ります?」「大黒岳です」「そうですか」

自分は前日に大黒岳に登ったし、なんとなく富士見岳の方が御来光をキレイに見れそうと思ったので、あーこの人達とは別行動か、まだ富士見岳の稜線にも大黒岳の稜線にも灯りは見えず、あーもうひとりで行こう、富士見岳一番乗りを目指そう、途中でクマと出会ったら暗闇のなかジ・エンドでいいや、山小屋の前で出発の準備をする二人を置いて、パトリオ9を持って突き進む。




4:20

畳平駐車場の灯りはすでに点き、駐車場の管理人の姿も。




 富士見岳を登り始める。自分が登っている間にほかの宿泊客もぞろぞろと、ライトの灯りが見えるのを確認する限りは5人以上、ご来光のために山小屋から出て、先の二人を含め、全員が、大黒岳に、登っている! なんか不安を感じつつ、引き返すのも格好悪いので、富士見岳山頂を目指す。




4:40

富士見岳山頂に到着。1ゲト。




御来光バス。バスは4:30くらいからぞろぞろと畳平に到着し始め、バス組の一部がぼっちの自分がいる富士見岳をチョイスして、少し安心した。




徐々に明るくなっていく。

これは雲海ですよね。




山ともやっとした感じの雲が好き。






そして・・・

見れました。




ものの数分で一気に明るくなる。




 御来光ミッションも無事クリア。





剣ヶ峰へ


 御来光を見た後、朝食は6:30からなので少し仮眠、というより二度寝

 朝食後、荷物の整理をして宿を出る準備。自転車と動くのに不要な荷物は山小屋に置かせてもらった。7:30頃に剣ヶ峰に向けて出発。途中まで、肩の小屋口までの最初の40分くらいは、砂利道を歩く。イージー




肩の小屋口へ到着。


今まではハイキング。ここからが本格的な山登りというイメージ。ビンディンシューズだからかすこぶる上りづらい。岩にガツガツとクリートの音をたてながら進む。難易度としてはほとんど手を使わずに登れるレベル。ただ登山道の外に滑って落ちたら死ぬ可能性のあるといったレベル。御在所よりはかなりイージーな印象。




蚕玉岳から剣ヶ峰を見る。

ここで標高2980m。剣ヶ峰まであと少し。






9時、剣ヶ峰到着。3026m。

人生初の3000m以上の地に立った、と思う。左奥に見えるのはおそらく御嶽で、御嶽は独立峰だとか。




来た道を振り返る。

富士見岳、大黒岳、魔王岳、その奥にスカイラインが見える。自分はおまえらと違ってスカイラインのゲートから1000m以上自力で登ってきたんだぞ、と周りの登山客に絶対に声に出して言わないが、優越感に浸っていた。




エコーライン

次はエコーラインですかね。スカイラインよりも森林限界以上の道が気持ちよさそうに見える。




 剣ヶ峰で記念撮影を済ませ、スナックパンをほおばりしばし休憩。雲の中に入ったり出たりを繰り返していたのでさっさと降りることに。降りるときのほうが注意が必要で、やはりビンディングで慎重に降りていたのだが、それでもデカいザックを背負ったおばさんよりはペースが速いらしく、どんどん抜かす。つーかこんな数時間で登って降りてこれる山にそんなデカい荷物必要なのかよ、9割がた使ってない荷物だろ、と素人の自分は思ってしまう。肩の小屋口手前でもデカいザックを背負ったおばさんと、まったく荷物を持っていないおじさんの不思議な夫婦を追い抜かしたのだが、そこで

「おっビンディングシューズで!? すごいねー」

と。自転車乗りの模様。

「さすがにSPD SLではないよね?」
「SLではないです。山登り用の靴だと歩きやすいですか?」
「そりゃ歩きやすいよー。滑らないもん」
「気を付けて降ります」

とやり取り。もうちょっとまともに歩ける靴はほしいっちゃほしい。現状、素足でナイキフリー4.0をはくのがもっとも歩きやすい。靴下はくとサイズの関係上足を痛める。




畳平到着

下りは1時間ほど。





ダウンヒル


 白雲荘で自転車を開放し、荷物を整理。ゴミは基本的に持ち帰る必要があり、空のペットボトルを自転車とフラットアイアンパックの両サイドにフルに挿してスタート。




晴れてたらなぁ。




ほうちょい絞った方が良い? なんか自転車が合成みたい。




雲ぇ・・・




 降りている間、多くの登っている人とすれ違うわけだが、軽く会釈がデフォ。ゲートまで8kmくらいの地点でハプニング。自分にスロースローと手を振りながら登ってくる人があらわれ、スピードにのっている自分はその人とすれ違ってから止まった。その人はわざわざ自分のところまで下ってきてくれて、開口一番

「カーブの向こうにクマいるよ」

と。それはないぜぇ〜。こわいぜぇ〜。どうやらカーブの向こうに子熊がいるらしく、そのおじさんとどうすべきか考えていると、その子熊が視界に入ってきて、路肩をごそごそと掘って、崖の下に消えていった。いつ行くの?今でしょ! ということでカーブ前まではゆっくりと、カーブの先が見えてクマがいないことが確認できたら猛スピードで突っ切った。それからも若干不安で、ベルを鳴らしながら進む。疑心暗鬼というか。それ以後はクマに出会うことなく無事ゲートに到着。




 クルマに荷物を積んで、平湯温泉につかり、板蔵ラーメンでチャーシューメンの大を食べ、去年と同様に高山のパン屋トランブルーでクロワッサンを買おうと試みるも売り切れで、食パンとバケットを買って帰宅。





さいごに


 乗鞍畳平での宿泊は自分にとって貴重な体験だった。今回は一人だったが、山小屋は4人くらいで泊まればその4人で相部屋を貸し切れそうだし、混雑期でなければ2人でも貸し切れそう。旅館スタイルの宿もあるようだし、剣ヶ峰も小学生でも登れるレベルだし、また今度一人ではなく、複数で来るのも良いと思う。