忘年会

 大学の近くの就活の時に企業の人によく連れてってもらった店で研究室の忘年会があった。

 飲み会の席で初めて教授(以下、先生)の隣に座った。別に今まで先生の隣を避けていたわけではないが、まぁ別に自分が座る必要はないしなみたいな考えがあったので。研究のこと以外の話をすることも今まであまりなかった。でも、先生のことをもっとよく知りたいという思いはあるし、先生は魅力的な人だし、自分のことももっと知って欲しいので、せっかくの機会だし積極的に話しかけた。
 まずカメラの話をした。カメラの話と言っても自分の話ではなく、先生がキヤノンの一眼を買ったという情報を講座旅行の際にゲッツしていたので、普段何を撮っているのですか?と聞いたのだ。自分の趣味の話を一方的に先生に聞かせることなど自分にはできない。先生はつまらないことはつまらないとはっきり言う方だし。先生は趣味のガーデニングやらペットやらを撮っているらしい。先生のその幸せそうな家での過ごし方を聞いて、なぜかこっちまで笑顔になってしまう、そんな感じがした。理想的な歳の取り方だと思ったからか。
 その後、近々ある京都での学会について先生から色々と話しかけていただいた。その学会に行くのは自分と先生の二人だけなので、若干のプレッシャーを感じずにはいられない。自分にとって満足のいく学会にしたいのはもちろん、がんばったと先生にも言ってもらえるようにした。正直、そう言ってもらうのはかなり厳しいが、最低限、先生の顔に泥を塗らないようにしなければならない。

 今日、先生と話して、つくづく自分は良い先生の下で研究をすることができているなぁって思った。自分は先生をすごく尊敬している。先生は素直だし、裏表ないし、ダンディだし、実績はすごいし、頭のレベルは自分とは桁違いだ。そして特に自分が思うことは、先生は人間の嫌な部分を持ち合わせていないように感じる。こんな風に感じる人は自分の周りには先生くらいしかいない。というか今までの自分の人生でそういう風に感じる人に出会ったことはないかもしれない。だからものすごく尊敬するのだ。自分は人間の嫌な部分しか持ち合わせていないような人間だし。
 来年から就職するけど、こんなに素晴らしい上司にめぐり合うことはないかもしれない。上司だけでなく、こんなに素晴らしい人に出会うこと自体ないのかもしれない。今の自分は尊敬する先生の下で研究ができて幸せだ。